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【舟井賀世子先生に聞いてみよう!】子どもの絵に関するお悩みについて(声かけ・収納編)

2025.06.13

特集

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2024年6月の公開以降、保護者の方に限らず、保育園・幼稚園・こども園の先生方にも読んでいただき、好評の声をいただいている以下コラムの第2弾として、子どものお絵描きに関するよくあるお悩みごとについて、舟井先生からアドバイスをいただきました!

一問一答形式で舟井先生にお応えいただいております。

声かけ編

困りごと①:お絵描きをする子どもに対して「言わない方がいい言葉」とは?

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先生からのコメント:子どもも大人同様、けなされるより褒めてもらう方が嬉しいのは当然です。反対に「これは下手」「ダメだね」といった否定的な言葉は心を傷付け、やる気をなくしかねないので言わない方がよいでしょう。

では、お絵描きを見守る際や、出来上がった作品に対して保護者はどんな言葉をかけるとよいでしょうか。

描きたくなる気持ちにさせるには…

・絵を描き終わったときに、共感の言葉とほめる言葉を

  • ここ すご~い
  • ここ 素敵よね
  • ここ よく考えたね!
  • ここ よく気がついたね
  • こんなこと知ってたんだね!すご~い
  • この絵の〇〇が大好きだよ

これらの言葉のように「ここ」「こんなこと」とがんばった箇所を言葉にしながら褒めてあげましょう。具体的に褒められることで、共感してくれていることが子ども一人ひとりの心にささり、絵を描いたことの達成感が高まります。漠然とではなく、細部「ここ」を具体的に挙げて言葉にすることが大切です。子どもに寄り添った言葉はきっと子どもの心に響きます。

言わない方がいい言葉とは

  • ダメ
  • 下手くそ
  • もっと上手に描いて!
  • なんで描けないの!
  • もっとがんばりなさい!

当然ですが、子どものやる気や意欲をなくす言葉になります。たとえ描いた絵が思う様に描けなく、グチャグチャになったとしても「〇〇はグチャグチャになってしまったけど、ここは上手に描けているよ」と容認の言葉があると子どもは救われます。

子どもが迷ってしまう言葉

  • 自由に描いていいよ
  • 好きなように描いてごらん

これらの声かけは、描き始めることができない時につい言ってしまう言葉です。子どもの意思を尊重している言葉のように聞こえますが、「何を描いたらいいの?」とより悩む原因になりがちです。そんな時、「一緒に描いてみようか?」「〇〇描くのもいいね」と小さなヒントを伝え、具体的にイメージが膨らむ様に心掛けましょう。そんな声掛けがあるとやる気が沸きます。

困りごと②:出来上がった絵に自信が無さそうで、見られることも嫌がる時の声かけは?

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※写真はイメージです

先生からのコメント:子どもは上手に描けた!という時は「見て!見て!」と自信満々に見せに来ますが、逆にそうでない時は見られたくないという気持ちから描いた絵を両手で隠そうとしたり、絵をグチャグチャと消したり、中には破く時もあります。描いた絵の出来栄えを子どもなりに解っているのです。

そんな時は、大人も強引に「見せて!」と言わず、子どもの気持ちに寄り添ってあげましょう。さりげなく絵を見ながら「〇〇大好きだよ、素敵だったのに!」とポジティブな声掛けをし、自分で納得しないところを聞いてあげると気持ちの切り替えもでき、表現への自信と意欲に繋がります。

収納編

困りごと:描いた作品はどうしたらいいですか?飾ってあげることのメリットはありますか?

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先生からのコメント:

子どもの描いた絵を本当は全部残したいけど、なかなかそうもいきません。お手軽な保存方法は写真や映像に撮ってデータとして残すことです。ですが、なるべく現物の絵をとっておきたい場合は、成長の「節目」の過程の絵に限定して保存してみることをおすすめします。

0、1歳頃

0、1歳の初めてのお絵かき。これは人間として初めて物を持って表すことの第一歩の作品です。ぜひ大切に保存してください。

次第に点々、そして横線、縦線、スクリブル(円形)、そしてしっかり丸が閉じ、その丸に目・口・手足がついてくる頭足人表現も大切な成長過程の記録作品にしましょう。乳幼児期は、何枚も何枚も繰り返し描いて遊びます。日々観察する中でいつもと色や形が異なっていると感じた作品は、日時やその時の子どもの様子などのコメントを添え書きしておくとよい思い出になります。

0歳児のなぐり描きの特徴と変化

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4月 10カ月 はじめてのなぐり描き クレパスに興味はなく少しのしるし

6月 1歳 トントンの音に興味を持ち、意欲的になる

7月 1歳1か月 気分がのらず少し疲れ気味

9月 1歳3か月 快活になり、横線・弓型線を描き色への興味もでてきた

12月 1歳6ヵ月 弓型線の折り返し部分が少し丸みを帯びる もうすぐ〇になるかな

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2、3歳頃

2、3歳頃になると言葉の育ちに伴い、描いた形にこれは「ブーブー」「ママ」「パパ」と言って説明をします。それは意味付けといい、自分の知っている単語を描き並べていく発達です。よく喋る子どもは早い時期から表れ、家庭環境・経験などで異なってきます。子どもの発した言葉を鉛筆などで添え書きをするとよい思い出になります。また、人物・動物を表現し始めますので、是非とも記憶するとよいでしょう。また色への興味も強くなり好きな色も出てくる時期です。色や形の変化の記録は大切です。

4、5、6歳頃

4、5、6歳頃になると、自分の興味・関心の強い絵を何度も描いて形を整え進化させながら自分のイメージを形象化していきます。空間認識も多様化して空(雲、太陽)や地面(道や穴)など場面構成への変化を楽しむ発達段階です。気付きや創意工夫を楽しんだ作品は本人もお気に入りの作品です。これは自分で上手に描いた、そうでないを決められる年齢ですから、残しておきたいと思う絵を決めさせてファイリングさせるのもよい方法です。

子どもが自分で描いた絵を友達や大人の前で見てもらい、褒めてもらう時、とても嬉しそうな表情になります。顔を赤らめ、恥じらうその姿はとてもかわいいものです。私は、保育の現場で子ども達と絵を描く時はできるだけ、子どもの絵をみんなの前で見せあい、どこが素敵か話し合います。そうすると「先生、ぼくの絵みんなに見せてあげて!」と自己推薦する子ども達が出てきます。見てもらうことは達成感・満足感を味わい、自信と次への表現意欲に繋がります。

お家では、リビングや家族が目にする場所に飾ることをおすすめします。

「この絵、ここに飾って!」ときっと子どもの心も動くはずです。

子どもの絵を飾る時のポイント

・飾る部屋と場所を決める…部屋のあちこちに飾るのではなく、きちんとスペースを決めておく

・適当に飾り変える…「そろそろ取り替えて!」と子どもの声がでます

・絵に日付、コメントを入れる…描いた本人や家族のメッセージを添える

「飾ってもらうと嬉しい!やってみよう!」という主体性の発生が「もっとやろう!」という表現の発生になり「続けてやろう!」という持続・継続性が芽生え「やってよかった!」という喜び、自信が育っていきます。

絵を飾る場所が、家族で絵の良さや工夫など一緒に見ながら心を通わせるそんな場所になるといいですね。

子ども作品を収納する時や飾る時にも便利な商品

「作品思い出ボックス 大サイズ」は、折り目をつけることなく画用紙を収納することができ、小物や不揃いなサイズのものもまとめて収納できます。また、付属の四つ切りクリアポケットは取り外し可能で、作品を入れて壁などに飾ることもできます。棚やクローゼットに片付けやすいサイズで、縦置き・横置きどちらでも収納可能です。背表紙には出し入れしやすいフック、ボックスの外側には中身がバラけないゴムバンド、中身が一目でわかるインデックスシール付きです。

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子どもの作品の一時的な保管にもおすすめの商品

「こまごまファイルA4サイズ」は、横置き仕様のポケットファイルです。自立するため、プリントや書類の出し入れがしやすく、13ポケットで手軽に分類できます。「インデックスシール」も付属し、じゃばらファイルの中身が一目瞭然。整理収納アドバイザー:水谷妙子さん監修の商品です。

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まとめ

今回も舟井先生からよくある子どものお絵描きに関して一問一答形式でお答えいただきました。

第一弾のコラムでも書きましたが、いただいたアドバイスはお絵描きだけでなく、子育て・養育の現場で汎用性があるものもありますので、時々読み返していただくこともおすすめします。

舟井賀世子先生のご紹介

元大阪信愛女学院短期大学子ども教育学科客員教授。1948年生まれ。大阪基督教短期大学卒業後、私立清教学園幼稚園に長年勤務。その間、幼稚園内では園児の絵画指導に従事。幼児造形教育連盟の運営委員助言者として活躍。大阪信愛女学院短期大学、大阪キリスト教短期大学、太成学院大学で講師を歴任、同様に全国各地の造形研究会の講師、幼稚園・保育園の先生がたの絵画指導に従事。サクラクレパスが開設した幼稚園・保育園の先生向けWEB「保育Studio(ほいスタ)」アドバイザーのほか、サクラクレパス出版部より『みんなで造形 絵を描こう!4・5歳児 楽しむ絵から伝える絵へ』『みんなで造形 描こうよ!作ろうよ!2・3歳児 未就園児対策はこの一冊でばっちり!』『みんなで造形 やってみよう!0・1歳児 たくさんの「かな?」が実戦の中にヒントとしていっぱい!』『わくわく楽しい幼児の絵画〈1〉ほいスタ書籍シリーズ』『わくわく楽しい幼児の絵画〈2〉ほいスタ書籍シリーズ』の著書がある。現在も大阪を中心に、全国の幼稚園・保育園で子どもや先生がたを対象に絵画を起点とした講演を行っている。

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