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あの色とこの色を混ぜれば完成!手持ちの絵の具セットにない色の作り方
手持ちの絵の具セットには入っていない色を使いたい!使いたい色の絵の具を使い切ってしまった!どうしよう...?そんな時、自分で色を作れると便利ですよね。このコラムでは、2色以上の絵の具を混ぜてできる色の作り方をご紹介!知識として覚えておくと、少ない色数の絵の具から、表現力豊かに絵が描けるようになりますよ。
絵の具は「混色」で多くの色が作れます!
異なる色と色を混ぜて新しい色を作ることを「混色」と言います。水彩絵の具をはじめ多くの絵の具は、この混色という方法で幅広い色の表現が可能になります。混色の原理をおおむね把握し、イメージする色の作り方が分かるようになると、多彩な色づかいで深みのある豊かな表現ができるようになります。ただ多少なりともテクニックと手間がかかるので、同じ色がたくさん必要な場合や手間を省きたい場合は単色や多色セットの絵の具をお買い求めください。
三原色と白色、黒色があれば、幅広い色合いを作ることができます!
水彩絵の具などの場合、「色の三原色」と呼ばれる色を混合すると、あらゆる色の種類が作れます。シアン、マゼンタ、イエローがその三原色に該当します。聞き慣れないシアンとマゼンタはそれぞれ青緑と赤紫に近い色合いですが、一般的な8〜12色程度の絵の具セットに入っている色で近い色を強いて挙げると、青、赤、黄になるでしょう。
基本的に、三原色と白色、黒色があれば、ほぼ全ての色を作ることができますが、三原色を他の色から作ることはできません。また、白色と黒色およびその2つを混ぜてできる無彩色もその他の色から作ることはできません。なお、三原色を混ぜ合わせると黒っぽい色にはなりますが、あくまで黒に近い色であって黒色ではありません。その他、金色や銀色、蛍光色の場合は、色以外の材料が必要なため作れません。
また、色は混ぜれば混ぜるほど彩度が低くなるため、例えば混色で作った緑色は、絵の具のチューブから出した緑色と同じ鮮やかさはありません。ただし、パキッと目を引くような鮮やかさはないものの、混色で作った色は自然界に見られる色により近いものになります。
絵の具での「色」の作り方をレクチャー
絵を描く際によく使う色は、混色の組み合わせを覚えておくと便利です。先述した通り、混色による色の作り方では彩度が低下し、ややくすんだ印象になりがちなので、きれいに洗った筆で混ぜることを心がけましょう。
なお、色名が同じ「赤色」や「青色」であっても、発色の具合や明度や彩度などはメーカーによって差があるため、以下にご紹介するとおりの色にならない場合や、ご自身のイメージとは異なる色になる場合があると思います。ですので、ここでの色の作り方は一般的な例であることをご理解ください。
三原色の組み合わせでできる色
一般的な絵の具セットにはシアン、マゼンタに近い色が入っているケースが少ないので、ここではその代わりにほとんどの絵の具セットに入っている青色、赤色、黄色の3つを使った色の作り方をご紹介します。
なお、色相が異なる色の混色の場合は、頭の中に色相環のイメージがあると、使いたい色が作りやすくなるでしょう。例えば、赤色と青色を混ぜて紫色を作る際、赤の比率が高ければ赤紫色、青の比率が高ければ青紫色という具合です。また、色相環で反対側に位置する「補色」の関係にある色同士を混ぜると、黒に近いグレー系や茶系の濁った色になることも覚えておくと便利です。
色相環で最も遠い位置関係にある補色は、色と色の差が最も大きい関係とも言えます。そのため、お互いの色を引き立てたり、目立たせる効果があります。この例としては、スーパーに並ぶマグロや赤身肉のパックに緑色のバランが添えてあることや、海水浴場の遊園禁止区域にオレンジ色のブイが浮いていることが挙げられます。赤色と緑色、青色とオレンジ色という補色同士を配置することで、見る人の目を引いているのです。
白色を混ぜてできる色
白色を混ぜると元の色よりも明度の高い色が作れます。白色の比率を増やすほど明度は高くなりますが、彩度は逆に低くなり、ふんわりモヤがかかったような淡く明るい色合いになります。
なお、色の明度を高めるには、白色を増やす方法の他に、白色の替わりに水の量を増やして画用紙の白さを利用する方法があります。透明水彩の技法としては、白色を加えるより、画用紙の白さを利用する方が効果的です。
黒色を混ぜてできる色
白色を混ぜる場合の反対で、黒色を混ぜると元の色よりも明度の低い色が作れます。黒色の比率を増やすほど明度は低くなり、合わせて彩度も低くなります。そのため、暗く深いトーンの色合いが出来上がります。
なお、一般的な絵の具セットにはほぼ黒色が入っていますが、もし黒色がない場合は、色相環で補色の関係にある2色、もしくは三原色の代わりになる赤、青、黄の3色を混ぜると黒に近い色になるので、その方法で黒っぽい色を作ってもよいでしょう。
絵の具を混色する際のコツや注意点
混色による色の作り方は、慣れるまでは難しく感じることも多いでしょう。自分のイメージにより近づけるためには、パレットの上などで少しずつ量を調整しながら混色することをおすすめします。また、いくつか混色の際のコツや注意点もご紹介するので参考にしてみてください。
混ぜる順番は、薄く明るい色から
濃く暗い色を薄く明るい色に変えることは困難です。不可能ではないものの、大量の絵の具を混ぜて作ることになるため、必要以上の量ができ、絵の具をムダにしてしまいます。混色する際は、薄く明るい色にそれより濃い色、暗い色...という順番で混ぜていくと大きな失敗が防げます。また、混ぜる量も少しずつ増やしていくのがコツです。
白色や黒色は、加える量に注意
白色や黒色、その2色を混ぜてできる灰色は無彩色と言われ、鮮やかさを持たない色です。混ぜると、元の色の彩度が明らかに低くなり、明度も大きく変わります。白色を混ぜた場合は明度が高くなり、元の色が明るくぼやけたイメージに変わります。また黒色を混ぜた場合は明度が低くなり、元の色が暗くくすんだイメージに変わります。どちらの場合も、一度混ぜてしまうと元の色に戻すのが非常に難しいので、ごくわずかな量を加え、色の変化を見ながら調整していきましょう。
彩度を保つには、混ぜすぎ厳禁
混色の場合、使う色数を増やせば増やすほど、出来上がった色の彩度は低くなる傾向があります。汚く濁ったグレー系や茶系の色になりがちなので、はっきりクリアな色調を保ちたければ2〜3色の混色に留める方が良いでしょう。例えば、モスグリーンのような深く暗い緑色を作る場合、黄色と青色の混色で緑色を作り、そこに緑色の補色にあたる赤色を混ぜたり、黒色を混ぜたりするよりも、最初から緑色の絵の具を使って赤色や黒色で混色する方が、彩度の高いモスグリーンが作れます。
彩度・明度を下げるなら、補色が効果的
描きたい絵によっては、あえて彩度や明度の低い色を作りたい場合があると思いますが、その際は補色関係にある色を混色するのも方法のひとつです。黒色を混ぜるという手もありますが、先述した通り黒色は影響力が強いので、うまくイメージした色合いにならなかった場合、そこからの補正が難しいというデメリットがあります。補色で彩度や明度を下げる、というテクニックは覚えておいて損はありません。
サクラクレパスの水彩絵の具ラインナップ
サクラクレパスの水彩絵の具は、小中学校の図工や美術の授業でもお馴染みです。加える水の量によって透明調にも不透明調にも描ける「サクラマット水彩」や、その優れた描画特性に、牛乳パックやペットボトルなど画用紙以外の素材にも描ける機能を加えたことで、工作用途にも活用いただける「サクラマット水彩マルチ」などがあります。
サクラマット水彩の特徴
サクラマット水彩は、学童用に開発された半透明水彩絵の具です。多めの水で溶くと透明水彩のように使え、少なめの水で溶くと不透明水彩のように使えます。にじみやかすれを用いた写実的な表現から、ムラなく均一に塗ったデザイン的な表現まで幅広くできるので、図工・美術の授業でも多く使われています。小さなお子様でも使いやすいポリチューブタイプと、アルミを樹脂で挟んだ丈夫なラミネートチューブタイプがあり、それぞれ豊富な色展開が揃っています。
サクラマット水彩マルチの特徴
サクラマット水彩マルチは、その名の通り、サクラマット水彩の用途をさらにマルチに広げたものです。特に画用紙以外にも、ペットボトルや牛乳パックなど色々なものに描けるため、工作用の絵の具としても活躍します。また、道具や衣服についてしまっても汚れが落ちやすく、後始末が簡単という特徴を持っています。12色〜18色の絵の具セットの他、単色での販売もしています。
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