SAKURA PRESS
【メーカー直伝】正しい筆の洗い方と乾かし方、汚れないコツ(絵の具・習字)
小中学校の図画工作や書写の授業で使う、絵筆や習字筆。最近では、授業時間が短くなるからといった理由などで、絵の具セットも習字セットも洗わずに帰って家で洗う学校が増えています。
「筆をどうやって洗えばいいの?」「できるだけシンクを汚さない方法は?」
洗面所やキッチンのシンクで筆を洗うと、墨や絵の具が服や周りに飛び散って困ることがあります。きちんと筆のお手入れができて、汚れない方法があるといいですよね。
そこで今回は正しい筆の洗い方と乾かし方を種類別に解説。さらに汚れないコツもご紹介します。適切にお手入れをすれば、愛用の筆が少しでも長く使えるようになりますよ。
正しい筆の洗い方
正しい筆の洗い方は、筆の種類によって異なります。
本コラムでは、絵の具筆(水性)、習字筆(太筆)、習字筆(細筆/小筆)の洗い方を解説します。
絵の具筆(水性)の洗い方
小中学校の図画工作授業で使う絵の具は、主に水彩絵の具(水性)です。
水彩絵の具は水溶性なので、石鹸を使わなくても水で汚れが落ちます。特に繊細な獣毛の画筆であれば、水だけでよく洗う方が筆に優しいです。
[絵の具筆(水性)の洗い方]
- 筆についた絵具をティッシュなどで拭き取る
- 水やぬるま湯で筆をゆらしながら洗う ※筆洗いバケツの底などに押さえつけず、手の平の上などで優しく洗いましょう
- 十分に洗ったら布などで水分を拭き取る
- 形を整えてよく乾かす
ポイントは、筆の根元をよく洗うことです。
筆の根元に汚れがたまると、固まってカチカチになります。
筆先を持って、根元をふくらませるように水洗いすると汚れが落ちやすいですよ。
習字筆(太筆)の洗い方
小学3年生から始まる書写授業で使う習字筆は、太筆と細筆の2種類になります。
太筆は、手でさわって熱くない程度のぬるま湯(40度以下)で洗います。墨液にはカーボン(炭素)や黒の顔料が含まれており、冷水より温かめの水の方が溶けやすいためです。
お湯の温度が高すぎると筆の根元の接着剤が溶けたり、毛が抜ける可能性があるのでご注意ください。石鹸や洗剤を使用することは、筆の毛が傷みますのでおすすめしません。
[習字筆(太筆)の洗い方]
- ぬるま湯を流しながら根元から丁寧に手を使ってほぐす ※習字筆がカチカチになっている場合は、ぬるま湯にしばらくつけておくとやわらかくなります。
- 筆の毛の根元部分を指で優しく揉み洗いする
- 毛先に向かって絞るように水分を切る
- 形を整えてよく乾かす
洗面所やキッチンのシンクで習字筆を洗うと、墨が服や周りに飛び散って困ることがあります。「汚れないコツ」も合わせて参考になさってください。
習字筆(細筆/小筆)の洗い方
細筆は、水洗いはせず、拭いてお手入れをします。細筆を水洗いすると、接着剤で固まっている部分がほぐれて毛先がばらけてしまい、細い線を書くことが難しくなるためです。
[習字筆(細筆/小筆)の洗い方]
- 半紙やティッシュに水を数滴分含ませたものを用意する
- その紙の上で、筆の毛の流れに沿って筆先を整えながら、墨を丁寧に拭きとる
- 墨が薄くなってきたら、筆先を整えてよく乾かす
ポイントは、細筆を乾かす際に、筆先を円錐形に美しく整えることです。次に使う時、まっすぐ綺麗に線を書けるようになりますよ。
正しい筆の乾かし方(絵の具・習字共通)
正しい筆の乾かし方は、筆先を下に向けて吊るすか、寝かせた状態で自然乾燥します。
筆の筆先を上に立てて干さないようにしましょう。立てて干すと、筆の根元に湿気がたまって根腐れの原因になったり、竹軸などは割れることもあるのでご注意ください。
[筆の乾かし方]
- 筆の筆先を元の形にきれいに整える
- 筆先を下にして筆を吊るすか、筆先を浮かして寝かせた状態にする
- 風通しの良いところで自然乾燥させる
ポイントは、十分に乾燥してから筆を使うということです。筆が常に湿った状態になるとカビや根腐れの要因になります。
早く乾かしたい場合は、水分をなるべく少なくしてから扇風機をあてて乾かしましょう。
直射日光やヘアドライヤーで乾かすことは筆が傷む原因になりますので、おすすめしません。
筆を洗う時に汚れないコツは?(習字筆に特におすすめ)
筆を洗う時に汚れないコツとして、空のペットボトル容器を使う方法をご紹介します。
ペットボトルは500ml以上のものをご用意ください(今回は2リットルのペットボトルを使用しました)。
[汚れない筆の洗い方]
材料:空のペットボトル、紐、ビニールテープ(絶縁テープ)
道具:キリかパンチ、カッターナイフ
1、空のペットボトルを飲み口から半分ぐらいの位置でカットする(怪我に注意して切ってください)
2、飲み口が付いた側のペットボトルの切り口にテープを巻く(怪我防止のため)
3、キリやパンチで幅が狭い方の側面上部の真ん中あたりに紐を通す穴をあける
4、使用する洗面台の蛇口と排水溝の長さに合わせて紐を結ぶ
5、水やぬるま湯を出して、ペットボトルの中で筆を洗う
6、洗い終えたら筆の水を切り、形を整えよく乾かす
特に習字筆は、墨を含んだ水で周りが汚れないか気を使いますよね。
ペットボトルのキャップを閉めて、紐の長さを調節して、筆と一緒にフック等に掛ければ、筆から落ちる水滴でお部屋を汚す心配もなくなります。
汚れ落ちしやすいおすすめ絵の具
汚れ落ちしやすいおすすめの水性絵の具は、サクラクレパスの「マット水彩マルチ」です。
「マット水彩マルチ」の特徴は、
- 従来のマット水彩より、衣類に付いた時に落としやすい
- 従来のマット水彩より、パレットなどの道具に付いた汚れも落としやすい
- ペットボトルや牛乳パックのようなつるつるとした塗面にも描ける
になります。
衣類汚れが落としやすいおすすめ墨液
うっかり衣服についた汚れが落ちやすいおすすめの墨液は、サクラクレパスの「洗濯で落ちる墨液」です。
「洗濯で落ちる墨液」の特徴は、
- 誤ってついた衣服(木綿)の墨液汚れが落とせる
- 泡の発生しにくい横口容器で、墨液が飛び散りにくい
になります。
一般の墨液はうっかり服につくとなかなか汚れが落ちないですよね。
なるべく簡単に墨液汚れを落としたい、という方に「洗濯で落ちる墨液」はおすすめです。
まとめ
今回は、正しい筆の洗い方と乾かし方を種類別に解説しながら、汚れないコツや、汚れにくい絵の具と墨液もご紹介しました。
小中学校の授業で使う筆には、絵の具筆(水性)と習字筆(太筆・細筆)があり、種類によってお手入れ方法が異なります。
汚れ落ちしやすい「マット水彩マルチ」絵の具や「洗濯で落ちる墨液」を使えば、うっかり汚れが服についても安心です。ぜひご参考になさってください。
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