SAKURA PRESS

【夏休み制作提案】「ストーンアートの作り方」基本の材料、手順、描き方のコツをお教えします!

2023.06.26

特集

ストーンアートの作り方を紹介するコラムです。

ストーンアートとは、その名の通り石で作るアート作品。作り方はシンプルで、河原や海辺などで拾った石にアクリル絵の具で絵を描いて仕上げます。ここでは、ストーンアートを楽しむために必要な材料や、基本的な作り方の手順の他、上手に描くコツやポイントについてご紹介します!

ストーンアートとは?

ストーンアートとは、⾃然の⽯に絵を描いて作り上げるアート作品のことです。「ストーンペインティング」、「ストーンクラフト」と呼ばれることもあります。自然と向き合い、自由な表現を楽しむ、そんな魅力的なアートのひとつです。

ストーンアートは、石と絵の具さえあれば初心者でも気軽に楽しむ事ができます。上級者になると、上の写真ような素敵な作品を作ることができます。

数万年前に描かれたとされる人類最古の絵画は洞窟の岩に描かれており、言わば、これもストーンアート。そんな最も古典的なアートではありますが、ストーンアートに堅苦しい決まりごとはありません。どんな石に何をどう描いてもOK。壁画のように石をキャンバスにして風景を描く、石の形状を生かして立体的なモチーフを描く、石に綺麗な色柄で模様を描く...など、好きなスタイルで描けるとても自由なアートです。

ストーンアートの魅力はどんなところ?

ストーンアートにはどんな魅力やおもしろさがあるのか、ストーンアーティストとして様々な作品を生み出している栗屋近先生に聞いてみました。先生のストーンアートは動物に見立てて描いた作品が多く、柔らかい毛並みや美しい瞳など、本物と見紛うようなリアルな表現が特徴です。作品は、栗屋先生のInstagramで公開されているのでチェックしてみてください!

栗屋 近:アーティスト @kurikinmaster

【プロフィール】
栗屋 近(くりや ちかし) ストーンアーティスト、プロダクトデザイナー
2017年頃から小石をメインに使った、クラフト・アートの創作を開始。
関西・関東のハンドメイドイベント、アートイベントに数多く出店。
テレビ番組で自身の作品が紹介された他、ストーンアート講師としての出演経験も持つ。
栗屋先生の最新コレクションはこちらからご覧いただけます。
https://www.pal-shop.jp/category/IP_001_811_001_239/

栗屋先生に聞いた、ストーンアート4つの魅力

【#01】 素材としても作品としても世界に1つだけ!
ストーンアートの材料は何でもない石ころです。身の回りで手軽に見つけることができます。ですが、同じ形の石は二つとありません。また同じような石であっても、捉え方はその時々によって変わりますし、見る人によっても変わります。だから、何回やっても、誰がやっても、そのたびにおもしろさが感じられるし、世界中でたった1つの作品ができあがる。それがストーンアートの魅力だと思います。
【#02】 アウトドアレジャー感覚でできる石探し!
ストーンアートは材料の石がなくては始まりません。石を探しに、河原や海岸などに出かけて行くわけですが、これがおもしろさのひとつです。材料を画材店に買いに行くことはあっても、自然の中に探しに行くことはなかなかありませんよね。このアウトドア感覚で楽しめるイベント性、レジャー性は、ストーンアートならではの魅力ではないでしょうか。
【#03】 観察の中で見つかる新しい発見!
石に絵を描き始める時は、これから描くモチーフがどんな形や色をしているのか、事前に細部を観察します。身近で見ることのできない動物だと、各パーツの形や位置を初めて知ることもありますし、身近にいるイヌやネコであっても、よく見ると頭の中のイメージと実物に差があったりします。観察の中に新しい発見があり、知的好奇心が刺激されるのもストーンアートの魅力ですね。
【#04】 石のイメージを裏切るギャップや意外性!
ストーンアートは自由な感性と発想で、どんな作品にもなり得るアートです。硬くて重い無機質な石を、ふわふわの毛に覆われた小動物に見せることも可能です。石からイメージを膨らませ、モチーフの特徴をうまく捉えながらカタチにしていく工程もおもしろいですが、素材の石と完成した作品の間に生まれるギャップもストーンアートだからこそのおもしろさですよね。

ストーンアートに必要な材料は?

「私もストーンアートをやってみたい!」と思ったら、「石」「絵の具」「筆」の3つを揃えましょう。おすすめの絵の具は、不透明で乾くと耐⽔性がありしっかり⾊が定着するアクリルガッシュです。塗った後、ニスを使って仕上げても良いでしょう。

ストーンアートの「石」の準備

河原や海岸に行くと、いろんな形の石が見つかります。流域や地質など環境によって石の特徴や種類が変わるので、いろんな場所に行って、どんな石があるか見てみるのも楽しいものです。

手に持って描くことも多いので、石のサイズはあまり大き過ぎない方が良いでしょう。重さで手が疲れると、作業がはかどりません。おすすめは手の平に収まる小ぶりのサイズ。片手でも扱いやすい上、いろんな角度から絵を確認するのにも適しています。

石を採取する際は、持ち帰り可否の確認を!
海や川は国や自治体によって管理されており、海岸法、河川法といった法律が定められています。その法律上、そこにある土砂や石を持ち帰るには管理者の許可が必要です。量がごくわずかな場合は持ち帰りが認められることもあるので、事前に国土交通省や管轄する自治体の担当部署に確認してみましょう。なお、国立公園や国定公園、都道府県立自然公園は、自然公園法によりすべてのものの持ち出しが一切禁じられています。公園区域内にある海岸や河原の石も当てはまるので注意しましょう。
▼参考ページ:国土交通省キッズページ
https://www.mlit.go.jp/page/kanbo01_hy_004599.html#2

ストーンアートの「絵の具」の準備

絵の具は、塗った後の乾きが早く、一旦乾くと水に溶けないアクリルガッシュがおすすめです。またアクリルガッシュは、異なる色を塗り重ねた時に、下の色が透けにくい「不透明」の特性を持つため、塗る色や範囲を誤ったとしても、また上から色を重ねれば簡単に修復できます。

絵の具は混色によって幅広い色を作り出せるので色数はそれほど多くなくても大丈夫ですが、慣れるまではイメージする色を作るのが難しいことも。パレットで色を混ぜたら、まずは紙などに塗り、どんな色合いかを確かめてから石への着彩を進めていきましょう。

絵の具を準備する際には種類の確認を!
アクリルガッシュとよく似た絵の具にアクリルカラーというものがあります。どちらもアクリル系の絵の具で、乾きの早さや乾いた後の耐水性は同じなのですが、アクリルカラーは透明調または半透明調のタイプが多く、上から異なる色を塗り重ねた時に、下の色が透けやすい特徴があります。ご購入の際は、種類を確かめてお買い求めください。

ストーンアートの「筆」の準備

アクリルガッシュは乾きが早いので、たくさんの絵の具を含むことができ、一度に長く描ける筆が使いやすいでしょう。細かい部分を塗る時は、細い筆があると便利です。ただし太い筆でも、穂先を調整すれば細い線や小さい点を描くことができるので、上手く描き分けられる場合は太い筆だけでも構いません。

ストーンアートの作り方

さてここからは、ストーンアート作りの手順をくわしくご説明します。ストーンアーティストの栗屋先生に、それぞれの工程のポイント、上手く作るためのコツを教えてもらったので、そちらも参考になさってください。

【STEP1】 使う石を選びます

石を選ぶ方法は、主に次の2通りがあります。

1)先に描くものを決めてから、それにぴったりの石を探す

2)その場で見た石をもとに、パッとひらめいたものを描く

どちらの方法でも、その石の形と描こうとしているものの形が上手く重なって見えるかどうかが重要です。

例えば、丸まって寝ているネコは、角張った石や平べったい石とはだいぶ形状が異なり、似ているとは言えません。
使う石は「この石なら絶対○○○に見える!」と感じたものを選ぶのがポイントです。

栗屋先生のワンポイントアドバイス 時間を決める、手元にキープ、が石探しのカギ!
いくら時間をかけても「これだ!」という石に出会えない場合もあるので、探す時間を決めて取り組みましょう。
そして、イメージ通りの形でなくても「まあまあかな...」と思える石があれば手元にキープしておきます。
決めた時間になったら、キープした中でベストな石選ぶようにすると、後悔や迷いなく決められます。

【STEP2】 石をきれいにします

使う石が決まったら、絵を描く前にきれいに洗って乾かします。手順は次の通りです。

1)中性洗剤を水に溶かし、その中に2時間ほど石をつけておく

2)毛先が柔らかいブラシでこすり、石の表面やくぼみの汚れを丁寧に落とす

3)天日に干す、またはドライヤーの風を当ててしっかり乾かす

【STEP3】 描くモチーフをよく観察します

石を水につけたり、干したりしている間に、これから描くものを図鑑やインターネットなどで見て調べます。
動物園や水族館に行って、実物をじっくり観察するのも良い方法です。
正面だけでなく、真横や後ろ、そして全体が把握しやすい前方斜めから観察するのがポイントです。

栗屋先生のワンポイントアドバイス いちばん表現したい部分、注目して欲しい部分はどこ?
「好き」「おもしろい」と感じる部分は、特によく観察して、気づいたことがあればスケッチしておきましょう。
そこが上手く表現できれば、イキイキとした良い作品が生まれます。

【STEP4】 いよいよ絵を描いていきます

まずは鉛筆で下絵を描いていきます

鉛筆で石に下絵を描きます。鉛筆の線が見えづらい石の場合は、先に白色のアクリルガッシュを塗ってから下絵を描いても結構です。上手くいかなくても心配いりません。直したい部分を白色のアクリルガッシュで塗ってしまえば、いくらでも描き直せます。

栗屋先生のワンポイントアドバイス 動物を描く場合は、左右の目と鼻の3点を基準に!
目と鼻の配置と大きさが上手く描けると、そこを基準に他の部分が描き進められ、全体のバランスも取りやすくなります。
下絵は納得いくまで粘って描いておくとGOOD!
下絵の段階で違和感を感じる場合、色を塗っても解消しないことが多々あります。下絵を頑張って描いておくと、作品の完成度も断然アップします!

次に筆を使って輪郭線を描きます

下絵を描き終えたら、輪郭を表す主要な線をアクリルガッシュで描いていきます。
この段階で最終的な輪郭を決めるので、下絵の時はあまり神経質にならず鉛筆でたくさん線を描き入れて大丈夫です。
輪郭線が描けたら、まわりの余計な鉛筆線は消しゴムで消しておきます。

栗屋先生のワンポイントアドバイス 輪郭線を描く時は、濃く暗い色の絵の具は使わない
輪郭線を描く時は、淡い灰色や茶色などを使うのがポイントです。クッキリとした黒色を使うと濃い影のように見え、塗り進める工程でまわりの色との調和が難しくなるためです。

【STEP5】 色を塗って仕上げます

絵の具で大まかに下塗りします

ここからはアクリルガッシュの出番。ひとまず大まかに色を塗っていきます。
この時、動物ならは毛の流れ、植物なら繊維の向きなど、自然の法則に応じて筆を動かすのがポイント。
そうすると、本物らしい雰囲気や見映えに近づけられます。

栗屋先生のワンポイントアドバイス 下塗りに使う色は、明るさと暗さの中間の色!
下塗りでは、光の当たったいちばん明るい部分と、影になったいちばん暗い部分の中間の色を使いましょう。
中間の色を土台に塗ることで、上から重ねる明るい色、暗い色がはっきり見えて、立体感が上手く表現できます。

細部を描き入れて仕上げます

最後は仕上げの作業です。目やヒゲなど細かい部分を丁寧に書き込みます。
光が当たっている部分、影になっている部分をよく見て、色を使い分けながら重ね塗りします。
この時も、ものの流れや向きは自然の状態にならって描くのがポイントです。

栗屋先生のワンポイントアドバイス 仕上げ作業は、作品のいちばんのポイントを重点的に
観察の時に「好き」「おもしろい」と感じた部分をしっかり描くのが、仕上げのポイントです。
描きたい部分がはっきり伝わる作品は、それだけで十分魅力的。オンリーワンの作品になります!
動物の瞳を描くときは、球体をイメージしながら
動物の瞳を描く時は、球体であることを意識しながら色を塗るのがポイントです。例えば、頭上にある太陽の光は球体の上部に当たります。そのため、この光を表現する明るいハイライトを瞳の中央より上の位置に入れるとリアルに見えます。

ストーンアート完成!

スプレータイプのニスを使うと手軽にツヤのある仕上がりに!

作った作品はニスでツヤを出すこともできます。また、ニスを塗布することで汚れを防ぐこともできます(※完全に防ぐことはできません)。ニスは、スプレータイプのものが手軽にお使いいただけます。スプレーをしたら乾かす、という工程を2~3回繰り返すのがきれいに仕上げるコツです。

※本作品は栗屋先生の作品ではございません

ストーンアート作品をさらに楽しむアイデア

ストーンアートは、作品づくりの工程はもちろん、その後も色々なアイデアで楽しみ方が広がるアートです。日常の実用的な道具に仕上げることもできますし、ホンモノ?と錯覚するようなシチュエーションで撮影し、写真作品にすることもできます。また、世界に一つだけのオリジナルアイテムとして誰かにプレゼントするのも素敵です。あなたならどんなふうに楽しみますか?

ストーンアートに適した描画材料のご紹介

ストーンアートにたくさんの描画材料は要りません。アクリルガッシュと筆があれば始められます。サクラクレパスでも商品をラインナップしており、小学生や中学生のお子さまにも手軽にお使いいただけます。

サクラクレパスのアクリルガッシュ

水で溶いて使用でき、乾くと耐水性になります。接着性が強く、石だけでなく、紙・金属・木・布・プラスチックなど幅広い素材に描けます。不透明調なので重ね塗りも容易にでき、にじみがありません。アクリルガッシュに筆やパレットなどが付属した便利なセット商品の他、使いたい色のアクリルガッシュだけ単色でもお買い求めいただけます。

栗屋先生コメント
サクラクレパスのアクリルガッシュは、絵の具の粘度が安定していると感じます。メーカーによっては、色によって硬 かったり柔らかかったりすることがあるのですが、サクラクレパスのものは粘度にほとんど差がないので水に溶けやす く、混色もしやすいですね。セットに含まれている色のバリエーションもバランス良く揃っているので、まずはセット で購入しておくと、お子さまが使う際も色に困らないのではないでしょうか。

アクリルガッシュに適した筆

アクリルガッシュの着彩には化学繊維を使用した毛の筆が最適です。サクラクレパスは、化学繊維を使用し、適度なコシがあり、水・絵の具の含みが良く、穂先のまとまりも良い筆を多数ラインナップしております。

仕上げのツヤ出しに適したニス

吹きかけるだけで塗布できるスプレータイプのニスは扱いがとても手軽です。サクラクレパスの「サクラ工作ニス スプレー」は乾燥後は耐水性を発揮するので作品が濡れても安心。作品にツヤを与え、汚れをつきにくくします。

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